2015.07.31.

Extermination

19年前 ニューヨーク ロウアーイーストサイドのはずれ 
傾いた古いアパートの5階に 小さくて白い部屋 を借りて住みだしたころのはなし



「ネズミ駆除に来ましたが留守でしたので また来ます」
という英語で殴り書きで書かれたメモが ドアに張られていた。

当時 英語が全くできなく いつも持ち歩いていた 英和和英辞書で
張り紙の意味を調べてみた。 

「皆殺しに来た。また戻ってくる!」 と直訳した私は 恐怖のあまり アパートを飛び出した。


ルームメイトになりたてだった家主が 仕事から戻ってくるのを外で震えながら待った。

夜 公衆電話で彼女の帰宅と無事を確認し(当時の英語力では 張り紙についてを電話で説明できなくて) 
おそるおそる 急いで戻ると 皆殺し予告のメモは キッチンのテーブルに置かれていた。


メモに怯える私を わらって ネズミ駆除についてのメモだと説明してくれ  
一件落着  ほっ  とした。  

という エピソード。





インターネット 携帯電話が ほとんどない時代
京都の映画の撮影所から リュックひとつ  ニューヨークに飛び込んできたばかりで
ラーメン屋の張り紙をみて決めたフラットは 当時 ジャンキーが多かったストリートに傾いて建っていた。

皆殺し という言葉は あながち なきにしもあらず  さもありなん で 


Extermination という張り紙を  あの時 本当に怖い と思った。





そんなこんなで 月日は経ち
昨日の私は 暗室の屋根うらにできた 蜂の巣の駆除=Extermination にとりかかることに。



蜂たちが眠るであろう 深夜を待ち

白い手袋と白いマスク 白いゴーグル 白いタオルをほっかむり 
ゴーストバスターズみたいに 白装束姿で

暗闇の中 蜂の巣めがけて 10m先まで噴射可能な殺虫剤のガンで狙いを定め 

返り討ちを怯えながら 一息に 噴射をつづけた。


 
ふと 「みつばちのささやき」 という 大好きな映画を 思い出した。

2015.07.29.

働き蜂の巣

早朝 暗室のシャッターをあげる時 テント屋根の軒下に
数匹の蜂たちが せっせせっせと蜂の巣をつくりだしている光景と遭遇した。 


今日は入稿が重なっていて 集中して 急いでプリントをしないといけない。

とっさの判断で みなかったことに。

暗闇作業中 働き蜂の姿が 気になりつつ こっちはこっち そっちはそっち
無視をきめこみ 無事 プリント作業が終了。

夜明かりに 蜂の巣を確認してみた。


朝よりもあきらかに がっつりと大きくなっている巣。


そして 日はもうとっくに沈んでいるのに 2匹の蜂が巣のまわりをパトロールしていた。


このまま 放っておくと どうなってしまうのだろう。



心配を胸に 今日はつかれた。
 ビールを呑んで眠ってしまおう。

鳥巣佑有子

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