2011.08.30.
12週間のカルマヨガが終わった。
最後の夜は テントの外に顔を出して星を観ながら眠った。
流れ星が3つ みえた。
空からみられているようで
すこしこわくなって 目を閉じた。
最後の朝は 夜明け前に起きて 寝袋や毛布 シーツ マットレスを洗濯し テントをたたんで 83日間を過ごした森の寝床をかたづけた。
ヨガセンターでの最後のメディテーションは 今までで一番深く 無になれた。
その後 共に暮らしたカルマヨギー達に別れの挨拶をしすぎて フェリーに乗り遅れたりなどなど いろいろあって バンクーバーのいつも泊まるコンドミニアムには夜のおそい時間に到着した。
夜のおそい時間 といっても 9時30分なんだけど。
久しぶりの都会の夜は 電気の明るさが とてもまぶしくて まばゆかった。
さっきまで 暮らしていた ソルトスプリングの時間がとても尊く 夢の中の時間だったように思えてくる。
2011.08.28.
コンポスト(キッチンの生ゴミ)を畑に運んで 干し草をかけて 土に返し 最後のカルマヨガを終えた。
そして 日没間際の湖をさっと泳ぐことにした。
キャンピングフォレストをつっきって ゴルフ場の柵を越えて まっくらになってしまう前に いそぎあしで。
靴をぬいで はだしで歩いてみた。
芝生も森の土も ひんやりと冷たくも柔らかだった。
湖について 急いで泳いだ。
もう 日がなくなって 湖は黒かった。
潜水して 目をあけてみてた。 日没後の水の色は黒 というか何もない色だった。
まっくらな水の中を泳ぐのは とても不思議な感覚。
水の音も聞こえていなかった。
最後に あおむけになって浮かんでみた。
一番星がひとつ光っていた。
2011.08.27.
キャンピング81日目
昨日も今日も 星空が冴えている。
テントのなかから 星を眺めながら眠り 起きたら 違う場所に星がうつっている。
今 朝の4時。
星を見ていると いろんなことを 思い出したり 想ったりする。
たくさんの日記を 暗闇の中でメモする。
夏休みの宿題を 最後に一気にするみたいに。
数万光年 数百万光年 数億光年 むこうから
数万年 数百万年 数億光年 かかって届いた星たちを 一様にみているみたいに。
今日は これから メディテーションのクラスをうけて メヴのヨガクラスをうけて 最後のサタデーマーケットにでかけ 最後のカルマヨガ(今日はキッチンでみんなの夕食の準備とあとかたづけ)をして ヨガをして 最後のキャンピングの夜を過ごす。
2011.08.24.
キャンピング78日目
昨日はずっと 雨が降っていた。
8月に入ってからは はじめてのしっかりとした雨。
6月7月と 雨の日がとても 多かったのだけど 森の木々の下に屋根をつくり その下にテントを張っていたので そんなに雨ふりは気にならなかったのだけど
今のねどこは 空のぬけた ひろい草むら 風の通りみち。
雨ふりには めっぽう弱い。
テント内はかろうじて雨よけできているのだけど とてもしっとりしている。
こんな時 ウール素材の良さを感じる。
雨にぬれても 保温性がそこなわれずにあたたかい。
ウールのレッグウォ−マー
モンゴルラクダのブランケットにくるまって 雨の夜をすごす。
ヘッドライトの電球が切れたので ペンライトで本を読む。
昨日の夜はずっと 木々がざわめき 動物達もへんな鳴き声でうるさかったり なんだか異様だった。
ちょっとだけ 不安になりつつも この森にはなぜだか絶対の安心感もあった。
朝 目を覚ますと この島の空気が一気にあたらしい秋のにおいに変わっていた。
ひんやり 冷たい空気と澄んだ秋空。
新しい 鳥の鳴き声。
昨日の夜で なにかが変わった。
2011.08.23.
夏の終わりと雨とみずうみ
今日は あさからずっと雨が降って霧がかかっている。
どんよりとうすぐらくて こんな日は湖で泳ぐのがいいと誰かが言った。
ヨガセンターの隣は 全コース オーガニックの芝生からなる大規模なゴルフ場があって その向こうにブラックバーンレイクがある。
今日みたいな 雨の日はゴルフをする人がいないから キャンピングフォレストのつきあたりの柵を越えて ゴルフコースをつっきると 湖までかなりの近道でいけるのだという。
おとなりのゴルフ場にはじめて 足を踏み入れたのだけど 芝生がとっても柔らかくて気持ちがいい。
芝生のなかには ちいさなクローバーもいっぱい混じっていて ちいさなカエルがいっぱい飛び跳ねていた。
ゴルフ場側の湖の入り江は 砂浜になっていて いつもの対岸のデッキからみえる景色とはずいぶん印象がちがってみえた。
霧の中の湖をおよいだ。 気温は肌寒かったのだけれど 水温はそんなに冷たくなかった。
今日も 水の中にもぐって 水の色を確かめてみた。
みずうみいろだった。
この湖の水は 飲み水にもなるくらいきれいだといわれているのだけれど そして実際に泳いでいてもなんだかとてもきれいな感じがするのだけれど 水の色は みずいろ ではなくて みずうみいろ だった。
耳まで水につけて しばらくの時間 あおむけになって浮いていた。
霧がかった森の中だったからか みえた景色のことはあまり覚えていないのだけれど みずうみの水の音がとてもきもちよかった。
2011.08.23.
2011.08.23.
2011.08.23.
ELIOTH
ELIOTH の船上で カルマヨギーのケリーとビールを飲んだ。
6月6日から スタートしたこの島でのカルマヨガ。
ビールはもちろん タバコもコーヒーもお肉 タマネギ ニンニク 刺激物を一切食さない プログラムではあるのだけど
たまに こうして コーヒー ときにビール ときにお肉 などなどを 少したしなんだりもする。
その方が 私には ちょうどいい。
カナダもそうなんだけど この島でも ウツ病 を煩う人の割合が以外と とても多いと聞いた。
はじめは こんなにも美しい自然の中の暮らしとウツは無縁に思えて 不思議で仕方がなかったのだけど 3ヶ月この土地に暮らしてみて なんとなく少しわかるような気がする。
このことは うまく説明できないのだけど。
こんなにも ピースフルで美しい 自然と知性の調和のとれたオーガニック先進国。
でも やっぱり 全てのものごとは それはそれはとてもとても複雑なバランスの中で なりたっていて
そこには 気候も気分も食事も文化も生活も人間関係も自分の生い立ちも人類の歴史も 土地の歴史も 全てが複雑に絡んでいて。
あと 一週間で 私の夏休みが終わる。
この夏の宿題 そうそう簡単にはとけそうもないパズルだったけれど
今 頭でなく 体でバランス感覚をつかんでいくことの重要性を感じている。
今 北の太陽の下。
2011.08.22.
森を泳ぐ
この夏を共に越した 森との暮らし。
今は すっかりと体になじんでいる。
月の満ち欠けによって変化する夜の暗闇 夜から 朝へのうすぐらやみ
眠っている間も起きてる時も 太陽の位置や月明かりに体や気分が反応しているのを感じられる。
最近は テントが明るくなってくる時間もすこしづつ おそくなってきた。
ソルトスプリングの夏の終わり が近づきつつある。
ふと おもいたち 自転車を走らせ 明け方の湖に泳ぎにいってみることに。
誰もいない湖。 思ったよりも冷たくない。
水面には森が映っていて 森の中を泳いでいるみたい。
水底がとても深いのか 水がとても重く感じられ
両手いっぱいに水をかくと 水面では森が波うち 森がたくさんに重なった。
水中に潜って 目を開けてみた。
にぶいモスグリーンしか見えなかった。
もう二度 水中を観てみた。
湖色だけ みえた。
顔をあげると
みずすましと水鳥が同じ湖で泳いでいた。
2011.08.19.
ALIOTH
ALIOTH号にはケリーの友達 スコティが住んでいて つまりここは彼の住空間。
ALIOTHとは 星の名前。 おおぐま座。
50年前に この船を造った人がつけた名前。
半世紀かけてとても大切に育てられた 古くてやさしい木の空間。
アンティークのガラス窓から見える海。
船の持ち主 スコティは この船の家でいろいろな島を一人で廻っているのだそう。
数年前に自分の持ち物などを全て売リ払い この船を買って それからずっとこの船に暮らしている。
(沖に船を停泊させるぶんには 地代などが 一切かからないらしい。)
ここソルトスプリング島の沖には今年の春から住んでいて 今はガンジスにあるカヤックショップでガイドの仕事をしていて ガンジスへはボートで行き来する。
いろいろなすてきな暮らし方があるんだなあ。。。
朽ちた木のデッキ 海風 北の夏の夜の太陽 おおぐま座 とっておきのビール。
2011.08.18.
白い船
アンティークな木製の船がいっぱいのヨットハーバーをすり抜け おんぼろヨットは ぐんぐんと沖へと向かう。
沖には ところどころに 碇を下ろして停泊する船。そのいちばん奥にケリーの知人の船 ALIOTHが浮いていた。
1960年代に航海用として作られた 白い船。
とてもいい感じに朽ちていて あたたかみのある木製の船。
ケリーの慣れた手つきでボートを船にくくりつけ 白い船に飛び乗る。
船の持ち主は不在だったけど もちろん鍵などかかっていない。
(この島の住民の多くは 家も車も鍵をかけない)
デッキには脱ぎ捨てられた靴下とブーツ、汚れたマグカップとたわし、洗剤の空箱、何かを書き記したメモ。
船内にはキッチンも寝室もトイレもあり 机の上には古い地図が数枚 ソファーの上には ランドリーから戻ってきた くたくたのネルシャツやスエット ジーンズなどなどが無造作にたたまれていた。
2011.08.17.
ケリー
3ヶ月のカルマヨガをハンモックで暮らしているケリー
雨の日も 嵐の日も このハンモックで眠っているとのこと。
船の上や ハンモック 揺れるところが好きらしい。
2011.08.17.
船
天気のいい午後 ビールが飲みたいなと思い、ガンジスまでヒッチハイクすることに。
今では おさんぽするのとのと同じくらいに ヒッチハイクすることも あたりまえの日常。
すこしづつ この島の流れにすっかり慣れ親しんでいる。
ヒッチハイクした車には カルマヨギーのケリーも一緒に同乗することに。
ヨガセンターの中でも 誰よりも森の奥に暮らし しかもテントではなくハンモックに暮らしているケリー。
どんな石ころ道でも はだしでぐんぐんあるいていく。
ハイスクールを卒業後 ウエィトレスをしたりしながら ずっと ハンモックと大きなリュックサックでいろいろな島を渡り歩いているという。
編み物とアクセサリー作りがとても上手で いつも かわいらしい洋服を着ていて
気さくで優しい 21歳のナチュラリスト。
これから 船の上で のんびりとした午後を過ごす というので 一緒についていってみることに。
島の中心地 ガンジスの海辺はヨットハーバーになっていて この島にとけ込んだ アンティークの船(おんぼろな船も 豪華な船も どれもいい感じに風化した船)がいっぱいに並んでいる。
リカーショップでオーガニックビールを買って ハーバーの入り口に並んでいる 小さなボートに乗りこむと 慣れた手つきでオールをこぎだす ケリー。
沖のむこうに停泊している 彼女の友人が所有する白い船(彼女にとっては秘密基地)へとむかい ちょっとした航海がはじまった。
傾き始めた太陽を背に ひとかき ひとかき オールを漕いで沖のむこうにむかう。
キラキラと輝く海を ひとつ ひとつ すくって 。
2011.08.14.
森に暮らす
いつもの森にたくさんの暮らし。
2011.08.08.
宮沢賢治と農業
素敵な いでたち の若いカナディアンのファーマーに出会った。
とてもかっこよくて ロックミュージシャンのような雰囲気。
聞くところによると もともと音楽をやっていて ファーマーになるつもりなど全くなかったのだけど 日本をバックパックで旅行中に 宮沢賢治の本に出会い、 彼の思想に深く感銘を受けたことをきっかけに カナダへ帰国し 実家のファームを継いで 農業を始めたのだという。
詩人で作家の 宮沢賢治 は 農業指導者でもあって 日本の農業とのかかわりがとても深いということを はじめて知った。
銀河鉄道の夜 の儚く瑞々しい宇宙のものがたりは 土と繋がっているなんて。
宮沢賢治の世界について 深く知りたい。
2011.08.03.
Tuesday Market
ガンジスをさんぽしていると Tuesday Market が開かれていた。
ソルトスプリング島といえばサタデーマーケットが有名だけど
火曜日に開かれるマーケットもまた 島のオーガニックファーマー達が それぞれのファームで穫れたばかりの新鮮な野菜や果物をもちよって軒を連ね よりローカルな雰囲気が漂っている。
ファームにより 野菜の並べ方や 売り方 お店の雰囲気は様々で
各ファーマーの世界観や個性がいっぱいにあふれている。
近くにはオーガニックマーケットやスーパーマーケットもあり 同じ品物が より安く売られていたりもするのだけれど
この野菜を育てた本人から直接 この野菜を買う、この人のファームで育ったこの野菜を買う
ということを大切に思っている人が この島にはとても多いように思う。
2011.08.03.
キャンピング59日目
森の奥にみつけた 広い草地にひっこした。
森の中では 木々の枝枝で夜空を眺めることができなかったけれど
ここからは 星空をながめながら眠りにつける。
新しい空間 新しい気分。
北の夏風 そよそよ そよぐ。
2011.08.02.
週末の2日間 サタデーマーケットでお店を開いているエリザベスの菜園でファームステイすることに。
エリザベスのお店では 焼き菓子やハーブティ ビーガンフード サラダやベリー等々 全て彼女の手により育て 作られたものが並べられる。
サタデーマーケットの中でもかなり人気の(昨年の売り上げは1位だったらしい)
お店で、 お手製のクッキーやケーキは 彼女が育てているニワトリによる生みたての卵と 自転車を改造した小麦挽き機(映画にでてくるタイムマシンのような機械)で彼女がペダルをこいで挽いた小麦粉で焼き上げられる。
金曜日の朝 彼女を訪ねるやいなや にわとりの世話の仕方 生みたてのたまごの取り方 サラダに使う葉とお花の説明が一気に始まり
どれが雑草でどれが食用の葉なのか覚える隙もないまま はさみとバケツを渡され サラダ摘みを任された。
菜園には ところ狭しと たくさんの種類のハーブや菜っ葉 食用の花、ベリーの木 雑草などなどがわんさか賑やかに生い茂っている。
ハーブの葉だとわかるものもあるのだけど いままでみたことのない種類の植物がいっぱいで 正直どれが雑草だかどれが食用だか….
エリザベスが摘み残していった葉っぱを頼りに わからない葉は 口にいれて食感と味を確認し さぐりさぐり 体で覚えながらの収穫だった。
午後には ベリー摘みも任される。
ベリーピッキングときいて かわいらしいイメージを抱いたものの 彼女の庭では ブルーベリー ブラックベリー グーズベリーもまたワイルドに実を実らせていた。
棘だらけの雑草が生い茂るベリー地帯にて 繊細なベリーの実を ひとつぶ ひとつぶ 丁寧に摘んでいく。
グーズベリーは 我が実をとられまいと枝のいたるところにさらに強靭な鋭い棘をいっぱい尖らせている。
庭の植物が ここまで自然に自由に生い茂り 実を実らすに至るまでには さぞかし たくさんの時間と労力 歴史があってのことだろうと想像する。
その収穫を担うことに責任を感じ 全身ひっかき傷だらけになりながら
ジャングルの中で狩猟をしているかのように 地面に這いつくばっての作業に奮闘した。
いつしか夜になり 焼き菓子づくりに没頭するエリザベスを手伝い、サタデーマーケットの準備をしていると 時計は夜の10時を過ぎていた。
土曜日は早朝から ハーブティーの準備やベリーの箱詰め で大忙し。
テントや食材をいっぱいに積み込んだトレーラーで 朝7時 ガンジスへと出発進行。
到着するとすぐに 荷物をおろし 指定の場所にテントを建て 机を並べ クロスをかけたら サラダやベリー お菓子などを並べきらないうちに お店はお客さんで賑わいはじめる。
こうして 一息つく間もないままに 青空の下 サタデーマーケットは開かれ
摘みたてのサラダやベリーは 朝の光にキラキラと輝き あっという間に完売した。
怒濤のごとく めくるめく過ぎ去った2日間だったけれど
今 確かに何かを 感じはじめている。